AUS Water Polo Weight Training


 2月9日にStrength & ConditioningコーチのStuart Cormack氏にインタビューを行った。
 彼は、AISのウェイトトレーニングルーム横にオフィスを持ち、他の4名のコーチと共に選手の指導に当たっている。これまでにあったコーチはみんな若く20後半から30半ばくらい。各コーチは数種目の競技を担当している。すべてのコーチが、豪コーチングカウンシルのレベル2の資格を取得しているそうだ。


 トレーニング室は選手専用になっていて、入り口でIDカードが必要である。朝6時から夕方 時までトレーニング室の利用が可能で、彼らはその時間帯にトレーニング室で指導している。Stuart氏は他に、サッカーや柔道も指導しているそうだ。また、トレーニング室の利用は混み合わないように、種目ごとに時間が割り当てられていて、ほとんどの時間帯が埋まっていた。

Q:水球チームのウェイトトレーニングの目的は何か?
A:まず障害防止のためである。特にシュート時に発揮される力で肩のローテーターカフの障害が多い。ゴールキーパーは巻き足による膝の障害が多いのでそれらの予防が目的である。もうひとつの目的として、高いパフォーマンスを発揮できるような筋力を向上させることである。具体的には、速いシュートが打てたり対人プレーに必要な筋力である。
 特にシニア選手は、長年トレーニングを積み重ねてきており、ベンチプレスなど100数十キロを持ち上げることが出来る。だから、そのstrengthに加えspeedが必要である。

Q:水球特有のプレーをどのようにウェイトトレーニングに組み込んでいるのか?
A:障害防止やスピード強化にも関係するが、そのひとつとしてラバーバンド(セラチューブ)を利用して、投球動作に似た動作を行っている。これはローテーターカフやインナーマッスルを強化し、投球時の肩の回転速度を増大することができ、また投球時の障害防止にも役立つ。
 バランスボールを利用して体幹を強化するトレーニングも必要である。腹筋などをこれで行う他に、レッグサポートのない水中を考慮して、バランスボールの上に座ったり、立ったりすることも行っている。


 また、メディシンボールトレーニングはボールを利用した体幹を強化するトレーニングである。2人組みで5m間隔でチェストパスや両手でオーバーハンドパス、ツイストパス、10m間隔で上方へチェストパスの要領で投げ上げるのはパワーやスピードの養成になる。大きなボール以外にもソフトボールほどの大きさ(1キロ前後)のものをトランポリンのようなネットにぶつけキャッチすることも体幹や肩の強化になる。メディシンボールとバランスボールを組み合わせて、バランスボールの上に膝立ちしてバランスを取りながら、メディスンボールをネットにぶつけるトレーニングはシュート強化につながると考えている。しかし、これは行うのが難しい。


 一般的なベンチプレスしにしても、シャフトを使うよりもダンベルで行った方が、両手の動きが自由になりバランスを取る強化になったり、左右の動作が違う水球のトレーニングによいと考えている。(参考:ベテラン選手は片手に35キロのダンベルを持ちベンチプレスを行っていた!!)

Q:最大筋力などの測定は行っているのか?
A:いくつかの種目に関して、そのシーズンによって2〜3ヶ月に1度ぐらい3回行える最大値を測定している。しかし、このような最大筋力よりも、水球ではスピードガンでシュート速度を測定したり、実際のプレーで発揮されるパフォーマンスを測定した方がいいと考えている。

Q:水球の各シーズンによってトレーニングメニューは違うのか?
A:主要な大会の日程によってトレーニングセッションが違ってくる。たとえば現在はナショナルリーグの最中で選手たちは毎週末に試合があるので、前述したメディスンボールなどを利用した障害予防とスピード重視のトレーニングを週3回(1回1時間程度)行っている。3月にはアメリカチームとの合宿がAISで予定されていて、重要なセッションのひとつではあるが、大会ではなくメダルには関係がないので、コンディション作りの一環として通常通り実施して行くつもりである。

Q:海外遠征時などのコンディショニングトレーニングはどのようにするのか?
A:残念ながらストレングスコーチは同行できないので、メニューを与えたり、事前に指示をしておく。遠征場所にもよるが、アメリカや日本などではここで行うのに近い形の施設がある。セラバンドやバランスボールなどは、持参するようにしている。重要な大会期におこなうコンディショニングとしてのウェイトトレーニングの目的は、障害防止である

<キーパーのトーマス・ラシック氏のトレーニング>
2月9日の午前中に実施していたトレーニング
 朝7時からのトレーングではこれまでに見たことのないウェイトトレーングであった。両手でメディスンボールをバウンドさせて上でキャッチして前進していく、トレーニングや1〜3キロぐらいのダンベルを両手に持ち、キーパーの手を上、横、斜めに瞬間的に上げて行くものである。パワーとスピードのトレーニングであった。
 その後、ドン・キャメロン監督と短いミーティングを持った後、左30〜45度からのドリブルシュートに対するキーピング練習を監督と行っていた。(監督がシューター)手を上に伸ばして構えるのではなく、肘を少し曲げて手のひらが頭の高さになるぐらいに構えていた。それにより、脇下のバウンドシュートを防ぐ練習であった。頭上に打たれたシュートに対しては、手を上げた時に肘が曲がっていては、頭上を抜かれてしまうので、肘を伸ばし隙間をなくすことを確認していた。

トレーニングメニューの一例


STRENGTH PROGRAM (JAN-FEB 2000)
Monday & Friday (weight training followed by med ball session)
1-Warm up
2-Bent over row 5-5-5
3-Alt arm d.b bench press 5-5-5
4-D.b step ups 5-5-5
5-Alt arm shoulders down & back 6-6-6
6-Med ball rotator cuff (2*6 internal rotation. 3*6 external rotation. Vary arm position each set. Increase speed over next 2 weeks.)
7-Abs (swiss ball leg tuck and twist 3*8 each side, swiss ball arm roll 3*8, swiss ball leg raise3*8)

Wednesday (weight training)
1-Warm up 5-5-5-3
2-D.b bench lunge 5-5-3
3-Lat pulldown 5-5-5-3
4-Squats 5-5-3
5-Alt arm d.b shoulder press 5-5-3
6-Barbell curl 5-5-3
7-Med ball rotator cuff (2*6 internal rotation. 3*6 external rotation. Vary arm position each set. Increase speed over next 2 weeks.)
8-Swiss ball back extension legs with twist 5-5-5
9-Abs (standing twisties 3*8(wide stance), hanging crunch 3*8(add weight), toe touches 3*8(add weight))

水球チームのトレーニング内容の紹介文(ホームページより)へ


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